わたしが読んだ本

2017年1月24日 (火)

フランク・ゲーリー 建築の話をしよう

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2015年12月刊 エクスナレッジ発行、2800円+税
いい本だ。おもいきって買ったかいがあった。
「本能を信じよう」

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2015年5月16日 (土)

木造都市への挑戦

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著者:木村一義、発行:致知出版、平成27年3月刊、1500円+税
副題に「都市(まち)に森をつくる」とあり、木造建築に関する内容だろうとは思っていたが、なんとなく漠たるイメージでページを繰った。
著者は㈱シェルターの創業者であり、KES構法の開発者であった。KES構法とは金物で接合する強度の高い木造工法のひとつであり、柱梁を内蔵された特許金物で接合する。
従来の木造でも、柱梁は金物で固定されるのであるが、単なるボルトが一本入るだけであり、抜けないことを主目的とする。いわゆる「ピン」接合である。KES構法は内蔵された複数のボルトとプレートにより強固に一体的に固定されるので「剛」接合となる。
これにより、剛接合としての構造計算が可能となり、合理的かつ論理的な設計が可能となる。
本書によると、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東北地方の巨大地震と大津波からもこのKES構法の建物は倒壊を免れたとある。
地震ならそれ相当の強度があれば残るだろうが、屋根のはるか上部までまで覆いかぶさる津波に耐えたとは尋常ではない。
映像で見るごとく、鉄骨やRC造の建築でさえ鉄骨が飴のように曲がり、RCの強固な壁は横倒しに転倒していたりしていた。
シェルター社は山形県の寒河江市にあるそうだ。同社ではKES溝法による強固な木造構法だけでなく、木造による耐火建築物の認定も取得し、都市に木造建築を普及することをめざし、実践しつつあるようだ。
タイトルの内容が見えてきた。
本書の最後半部には、建築家の坂茂氏との対談も収録されている。坂氏の処女作である蓼科の別荘建築を木村氏の会社が請け負って建てたという縁があるそうだ。

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2015年4月15日 (水)

「ビル」を街ごとプロデュース

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著者:岩田研一、発行:ダイヤモンド・ビジネス企画、2015年3月刊、1500円+税
副題は「プロパティマネジメントが、ビルに力を与える」。
著者の岩田さんは三菱地所プロパティマネジメント株式会社の社長。
ビルにおける「プロパティマネジメント」とは単なるビル「管理」と訳されあるいは同一視される傾向にあるらしいが、実際はビルの単なる管理ではなく、さまざまな施策によりビルの価値ひいては街そのものの魅力・資産価値を維持・向上させる手法であり、なにより提案力を必要とすると著者は説く。
日本ではまだなじみの薄い言葉だろうが、1980年代のアメリカで発生した概念のようだ。不動産収益としての家賃収入=運用益の安定と拡充を図るため、その道のプロとしてのプロパティマネジメント会社が誕生した。
日本におけるプロパティマネジメントの原点ともいえるのが「横浜ランドマークタワー」であり、ターニングポイントとなったのが「丸ビル」であるという。
横浜ランドマークタワーは、近年「あべのハルカス」が誕生するまでは日本一の高さを誇る超高層ビルであり、まさしく横浜のランドマークであり横浜みなとみらい再開発地区の象徴であった。
なにもないだだっぴろい地域にポツンとタワーは誕生する。その後、地区内にたくさんのビルや商業施設が建ち、やがてひとつの大きな街になっていくのであり、地区内で働く人や観光客が劇的に増加して行くのであるが、その成長の過程に応じたビル単独あるいは街ぐるみのさまざまな施策がプロパティマネジメントの積み重ねとして実施されていく。
「丸ビル」は東京の超一等地である丸の内エリアの象徴である。日本有数のオフィス街もかつては凋落傾向にあった。なによりオフィス街に特化した街であるために、住人もなく買物客・観光客は皆無であり、午後5時を過ぎるとシャッター街として閑散としていたのである。
このオフィスエリアが近年の再開発によって、東京でも有数の魅力ある街として見直されてきている。丸の内は三菱地所の本丸でもあり、そのグループ社である同社にとっても、とうぜんのようにこれらの問題意識は高いものがあったはずである。
本書の第4章では「丸の内を染めたシャンパンゴールド」として、丸の内エリアのイルミネーション点灯プロジェクトを取り上げている。
これが街ごと巻き込んだプロパティマネジメントであり、「ビルを街ごとプロデュース」する手法なのだろう。
多くの人は街(まち)にあこがれる。ワクワクするからだ。大人も子どもも休日になると街(まち)に行こうと言う。そんな街がつくれたら楽しいだろうな。

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2015年3月26日 (木)

日本語の科学が世界を変える

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著者:松尾義之、発行:筑摩書房・2015年1月、価格:1500円+税
日本語を科学するという意味ではなく、日本語で考え、科学することが独創的でユニークな研究成果をもたらすという意味のタイトル。
著者は科学ジャーナリストであり、ここ40年ほどの世界の科学界の動きをウオッチし解読してきた人である。
氏は本書の冒頭に益川博士のノーベル賞受賞講演のはじめのフレーズである「アイアムソーリー、アイキャンノットスピーク イングリッシュ」を引いている。
益川博士は日本語しか話せないけれども世界の最先端の研究をおこない、ノーベル賞を受賞したことの重要性をこの言葉から引いているのである。(益川教授は、もちろん英語の読み書きは堪能であるそうだが)
日本人が母国語である日本語でものを考えることは当然であるが、科学の世界ではそうでもないらしい。先端の研究を正確に論理的に解説することができる言語は、英語も含めて世界にはそう多くないという事実がある。
日本語はもちろんそれができる。だからわたしたち日本人は幸せだ。科学も法律も自国語で表現でき、思考することができる。
さらに、本書の伝えたいことは、じつは日本語による思考・研究が世界の科学界をリードする要因のひとつになっているのではないかという点である。
詳細は本書にゆずるが、ポイントはふたつであろうか。ひとつは日本語が漢字、かな、アルファベット、数字などさまざまな表現手法を取り込めること。漢字が表意文字であることである。漢字で表された単語からはある程度の内容や意味がくみとれる。多種の文字を組み合わせる表現手法を駆使することでおのずから脳は鍛えられるだろう。
しかし、このことは日本語のデメリットでもあったが、日本語ワープロの開発で問題は一気に解決された。
もうひとつは、日本が独特の文明圏にあるといことである。英語圏の人たちはとうぜんながら英語で思考し科学する。そしてとうぜん、それは宗教や文化的な背景からくる価値観に大きく影響されている。かたや日本には異質の文化・価値観があり、西洋文明圏だけでは発想しえない思考も得やすいだろう。画期的な研究や発明は異文化との衝突や交流のなかで生まれるのであれば当然のことかもしれない。
とくに、日本では中間を・中道・中庸をたっとぶ価値観がある。ところが一神教の世界はそうでもないそうで、二律背反の世界観であり中間に寛容ではないという。
湯川博士の研究などをこうした中間に真理を見出そうとする東洋的な価値観の延長線上にあると氏は考えている。
近年、ノーベル賞の受賞者に日本人(現国籍は別として)研究者が増えてきた。先の益川氏、IPSの山中氏、ダイオードの中村氏などなど。著者がいうには、日本の科学研究の質が高いことは世界の定評となっているとのこと。また、世界の科学は近年つまらなくなっているが、逆に日本からはおもしいろい研究がうまれているとも。
このことは英語的思考によるマンネリや沈滞、異文化のもつ新鮮さの表出かもしれない。
近年は建築の分野でも日本人の建築家が世界で高く評価されている。彼らはけして日本的な意匠で世界に打って出ているのではないが、西洋人にはない発想や価値観・美意識が意識せずとも文化的な背景としてあることは間違いない。それが高度な科学技術や教育に裏打ちされて世界に認められてきたのだろう。
本書の後半部では生物学の木村博士、スーパーな研究者西澤潤一博士、微生物の堀越博士、結晶学の蔡博士などのすぐれた研究者の紹介にあてられている。いずれも、ノーベル賞に匹敵あるいは超越する業績を残した研究者である。
そして、日本の研究風土として「泥臭さ」をいとわない姿勢があるという。これが成功の一因でもあると。

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2015年1月31日 (土)

宮脇檀の住宅デザインの教科書

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著者:中山 繁信、2014年10月、エクスナレッジ刊、¥1800+税
いい本だ。タイトルのとおり、住宅デザインの教科書にもってこいだとおもう。
住宅をおそらく数百棟とつくったであろう名人・宮脇氏の手法を要領よくまとめて教えてくれる。エクスナレッジは設計事務所向けのよきアドバイザーである。
デザインは無限だ。楽しいなあ。

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2015年1月10日 (土)

池田晶子の本 2冊

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著者:池田晶子、編者:NPO法人 わたくし、つまりNobody、発行:毎日新聞社、2014年11月刊、1500円+税

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著者:池田晶子、編者:NPO法人 わたくし、つまりNobody、発行:毎日新聞社、2014年11月刊、2700円+税

著者は若くして亡くなった哲学系作家だ。小さなころから「わたしはどうして私なのか」「なぜわたしはここに生まれてここにいるのか」などの疑問をずっと考えていたそうだ。

そんなにメジャーな作家ではないとおもうが、一定の固定読者の支持は根強く、NPO法人 わたくし、つまりNobody を有志で組織し、顕彰事業やこの本のように単行本の再編纂をおこなっているようである。

「悩むな!考えろ!」が著者の口癖だ。この場合の「考える」は存在や死・無・宇宙についての純粋な思考であり、わたしたちがふだん「考えている」というときの状態は「悩んでいる」又は「思っている」状態でしかない。
ほとんどの人は「考え」ていないと氏は言う。だから行動や言葉がフラフラしているのであり、義理・人情あれこれを統御できない。

たぶんそうだろう。わたしもそうだ。「考えている」といったって身近な資金繰りだったり、スケジュールの調整だったり、どうしようと「悩んでいる」がほとんどだ。義理・人情にも流されやすい。
でも、建築の設計に関しては若干は「考える」要素があるのかもしれない。いくつかの諸条件はあるにせよ、なにをつくろうがまったくの自由であり、白紙の状態からはじまるのであり、「機能・美しさ・構造・自然」がピタッとはまるまで延々と考え続ける。しんどくも楽しい時間だ。ただしこれは無限のバリエーションの中から最適解を導き出す作業であり、氏のいうところの「悩み」にすぎないのかもしれない。たぶん、それ以前に「いいもの・善きこと」を求めてひたすら考えることが「考える」であろうか。

まだまだ、ひたすら「考える」しかない。そう気付かされただけでも、新年早々いい本にめぐりあえたことに感謝する。

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2014年12月 5日 (金)

イギリス人アナリスト日本の国宝を守る

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デービッド・アトキンソン 著、講談社+α新書、2014年10月刊、840円+税
なぜイギリス人が国宝の修復を専門とする京都の老舗工芸会社の社長をしているのだろう?
そんな興味で手に取ってみたところ、中身はたいへん優れた日本文化論になっている。
日本人識者によるうちわの褒め話は自尊心がくすぐられていいが、たまには外国人の感じる忌憚のない日本文化論もいい。
氏は優秀なコンサルタント・アナリストであった。ソロモン・ブラザーズ、ゴールドマン・サックスにて、日本の金融界を顧客とするアナリストとして活躍する。そして若くして退社。
引退後は京都の老舗工芸会社に取締役として迎えられ、2011年に社長に就任する。
なぜイギリス人が・・という問いに答えるとすれば、氏が優秀な人物であり、茶の湯などを通して日本の伝統文化・美術に高い関心があったからといえようが、詳細は本書を読んでほしい。
氏は長い日本滞在を経て感じる日本文化論を開陳してくれている。まさしくグローバルな目を通しての文化論だとおもうし、そのとおりと感じいるところもあったのでその概要を記しておく。
①日本の社会はけして効率的ではない。サイエンスが足りていない。
②日本が貿易立国であるとはいえない。GDPに占める貿易割合はそんなに高くない。
③「おもてなし」には疑問。おしきせ、ひとりよがりのマニュアル的サービスが多い。お客さん の意向よりもてなす側のつごうが優先されている。
④経営者は無能だが従業員は優秀である。
最後の章では、<「文化財保護」で日本はまだまだ成長できる>として文化財の保護の重要性を経済とからめて論じている。
作者のくにイギリスでは文化財の保護に力を入れており、予算規模にして日本の数倍である。
その優良な状態に保存活用された文化財が有効な観光資源となっていて、そこに新たな雇用の発生など経済的にも有益に作用しているという。
日本のよい参考になりそうである。

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2014年10月24日 (金)

ニュートリノと私

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著者:小柴 昌俊、2014年、PHP研究所 刊、1200円+税
ご存知、カミオカンデの生みの親・ノーベル賞学者の小柴さんの本。
中身はひらがなの多い大活字であり、小中学生を対象にしたものかもしれない。
内容はインタビュー形式であり、小柴さんがこれまでの歩みをやさしく読者に語りかけるスタイル。裏表紙のオビに書かれた「自分が本当にやりたい・・・・」小柴さんの言いたいことはこれに尽きているといっていいだろう。
おもいかえせば、30年ほど前、自分が本当にやりたいことをわたしは見つけた気がした。それは建築だった。まだ「もう心配ありません」という状況にはなっていないが、これまでなんとか続けてきているので、よかったともいえるが、もしかしたら勘違いだったのかもしれないような気がしないでもない。

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2014年10月14日 (火)

水族館革命

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著者:石垣 幸二、宝島社新書、2014年7月 発行
静岡県に「沼津港深海水族館」なる人気のスポットがあるそうで、著者はここの館長である。
おもしろい本だった。肩の力を抜いて一気に読めた。やる気が全てだ。
石垣氏はアカデミズムの人ではない。魚の商売人・それも水族館関係の魚屋さんという世界でも特殊な商売を商っている人だ。
沼津に本拠のある水産会社がこの水族館のスポンサーだという。日本は水族館大国であり、数十の水族館が巨大な水槽と珍しい魚、迫力を競っているが、沼津の水族館は日本でも唯一という「深海」を冠した水族館である。
なぜ「深海」かというと、沼津港の位置する駿河湾は、世界でも有数の深海湾なのであった。海岸から数百メートルも沖に出ると、もう海底は断崖絶壁のように一気に落ち込み、数千メートルという深さに達するらしい。
水族館で商売的にペイするのは難しいだろうが、この水族館はきっちりと利益を出しているそうだ。日本にあまたある水族館のほとんどは公営・公設のものだろうから、莫大な初期投資も可能であったりして、そもそも採算は度外視だったりもする。そんな中で、この施設をきっちりと民間ベースで軌道に乗せているのだからその手腕やよしである。
徹底的にお客さん目線でありながら客に媚びずにプライドをもって他と一線を画し、クオリティを追求する姿勢がえらい。

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2014年10月11日 (土)

デザイン室

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著者:鈴木成一、2014年8月、㈱イーストプレス発行
このきわめてシンプルな表紙の本は装丁・ブックデザインの第一人者である鈴木さんの作品を集めたもの。
奥書によると、本書のタイトルは「デザイン室」となっている。著者が鈴木成一さん、ブックデザインは氏が主宰する「鈴木成一デザイン室」であり、三者をミックスした表題が中央に控えめにドンとあるだけのびっくりするような装丁だ。装丁家の本だからこそのスタイルだろう。
本書には約100冊ほどの鈴木さんのデザインした多彩な本がオールカラーで収録されている。毎回、手を変え品を変えブックデザインを追及している。いかに売れるか、読者の手に取ってもらえるか、本の内容を表現できるか、思考は逡巡する。
せめて自分の本くらいは悩まずにやりたいことをさっとやってみたい、という主旨なのだろうと推測したりもするが、やはり考えに考え抜いての結論がこれだったのだろう。よく見ると、タイトルの一番上と下「鈴」と「室」の字がすこしぼやけている。まさか印刷ミスや写真のミスではあるまい、なにか意図があってのことだろう。

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