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2015年5月16日 (土)

木造都市への挑戦

Dsc_35292

著者:木村一義、発行:致知出版、平成27年3月刊、1500円+税
副題に「都市(まち)に森をつくる」とあり、木造建築に関する内容だろうとは思っていたが、なんとなく漠たるイメージでページを繰った。
著者は㈱シェルターの創業者であり、KES構法の開発者であった。KES構法とは金物で接合する強度の高い木造工法のひとつであり、柱梁を内蔵された特許金物で接合する。
従来の木造でも、柱梁は金物で固定されるのであるが、単なるボルトが一本入るだけであり、抜けないことを主目的とする。いわゆる「ピン」接合である。KES構法は内蔵された複数のボルトとプレートにより強固に一体的に固定されるので「剛」接合となる。
これにより、剛接合としての構造計算が可能となり、合理的かつ論理的な設計が可能となる。
本書によると、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東北地方の巨大地震と大津波からもこのKES構法の建物は倒壊を免れたとある。
地震ならそれ相当の強度があれば残るだろうが、屋根のはるか上部までまで覆いかぶさる津波に耐えたとは尋常ではない。
映像で見るごとく、鉄骨やRC造の建築でさえ鉄骨が飴のように曲がり、RCの強固な壁は横倒しに転倒していたりしていた。
シェルター社は山形県の寒河江市にあるそうだ。同社ではKES溝法による強固な木造構法だけでなく、木造による耐火建築物の認定も取得し、都市に木造建築を普及することをめざし、実践しつつあるようだ。
タイトルの内容が見えてきた。
本書の最後半部には、建築家の坂茂氏との対談も収録されている。坂氏の処女作である蓼科の別荘建築を木村氏の会社が請け負って建てたという縁があるそうだ。

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