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2015年4月15日 (水)

「ビル」を街ごとプロデュース

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著者:岩田研一、発行:ダイヤモンド・ビジネス企画、2015年3月刊、1500円+税
副題は「プロパティマネジメントが、ビルに力を与える」。
著者の岩田さんは三菱地所プロパティマネジメント株式会社の社長。
ビルにおける「プロパティマネジメント」とは単なるビル「管理」と訳されあるいは同一視される傾向にあるらしいが、実際はビルの単なる管理ではなく、さまざまな施策によりビルの価値ひいては街そのものの魅力・資産価値を維持・向上させる手法であり、なにより提案力を必要とすると著者は説く。
日本ではまだなじみの薄い言葉だろうが、1980年代のアメリカで発生した概念のようだ。不動産収益としての家賃収入=運用益の安定と拡充を図るため、その道のプロとしてのプロパティマネジメント会社が誕生した。
日本におけるプロパティマネジメントの原点ともいえるのが「横浜ランドマークタワー」であり、ターニングポイントとなったのが「丸ビル」であるという。
横浜ランドマークタワーは、近年「あべのハルカス」が誕生するまでは日本一の高さを誇る超高層ビルであり、まさしく横浜のランドマークであり横浜みなとみらい再開発地区の象徴であった。
なにもないだだっぴろい地域にポツンとタワーは誕生する。その後、地区内にたくさんのビルや商業施設が建ち、やがてひとつの大きな街になっていくのであり、地区内で働く人や観光客が劇的に増加して行くのであるが、その成長の過程に応じたビル単独あるいは街ぐるみのさまざまな施策がプロパティマネジメントの積み重ねとして実施されていく。
「丸ビル」は東京の超一等地である丸の内エリアの象徴である。日本有数のオフィス街もかつては凋落傾向にあった。なによりオフィス街に特化した街であるために、住人もなく買物客・観光客は皆無であり、午後5時を過ぎるとシャッター街として閑散としていたのである。
このオフィスエリアが近年の再開発によって、東京でも有数の魅力ある街として見直されてきている。丸の内は三菱地所の本丸でもあり、そのグループ社である同社にとっても、とうぜんのようにこれらの問題意識は高いものがあったはずである。
本書の第4章では「丸の内を染めたシャンパンゴールド」として、丸の内エリアのイルミネーション点灯プロジェクトを取り上げている。
これが街ごと巻き込んだプロパティマネジメントであり、「ビルを街ごとプロデュース」する手法なのだろう。
多くの人は街(まち)にあこがれる。ワクワクするからだ。大人も子どもも休日になると街(まち)に行こうと言う。そんな街がつくれたら楽しいだろうな。

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