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2014年12月 5日 (金)

イギリス人アナリスト日本の国宝を守る

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デービッド・アトキンソン 著、講談社+α新書、2014年10月刊、840円+税
なぜイギリス人が国宝の修復を専門とする京都の老舗工芸会社の社長をしているのだろう?
そんな興味で手に取ってみたところ、中身はたいへん優れた日本文化論になっている。
日本人識者によるうちわの褒め話は自尊心がくすぐられていいが、たまには外国人の感じる忌憚のない日本文化論もいい。
氏は優秀なコンサルタント・アナリストであった。ソロモン・ブラザーズ、ゴールドマン・サックスにて、日本の金融界を顧客とするアナリストとして活躍する。そして若くして退社。
引退後は京都の老舗工芸会社に取締役として迎えられ、2011年に社長に就任する。
なぜイギリス人が・・という問いに答えるとすれば、氏が優秀な人物であり、茶の湯などを通して日本の伝統文化・美術に高い関心があったからといえようが、詳細は本書を読んでほしい。
氏は長い日本滞在を経て感じる日本文化論を開陳してくれている。まさしくグローバルな目を通しての文化論だとおもうし、そのとおりと感じいるところもあったのでその概要を記しておく。
①日本の社会はけして効率的ではない。サイエンスが足りていない。
②日本が貿易立国であるとはいえない。GDPに占める貿易割合はそんなに高くない。
③「おもてなし」には疑問。おしきせ、ひとりよがりのマニュアル的サービスが多い。お客さん の意向よりもてなす側のつごうが優先されている。
④経営者は無能だが従業員は優秀である。
最後の章では、<「文化財保護」で日本はまだまだ成長できる>として文化財の保護の重要性を経済とからめて論じている。
作者のくにイギリスでは文化財の保護に力を入れており、予算規模にして日本の数倍である。
その優良な状態に保存活用された文化財が有効な観光資源となっていて、そこに新たな雇用の発生など経済的にも有益に作用しているという。
日本のよい参考になりそうである。

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