原発をつくらせない人びと ~祝島から未来へ
岩波新書1399、山秋 真 著、2012年12月刊、760円+税
山口県の上関原発をめぐる動きは1982年ごろからはじまった。こうして30年以上、この地域と祝島の人たちの反対運動は続いている。
2011年3月の福島第一原発の事故以来、ようやく反対派に穏やかな日々が戻ってきたかというと、まだ中国電力は建設をあきらめてはいないようだし、事故直後は凍結・中止の方針を見せていた地元の首長も、時がたつにつれやや慎重なトーンに言い回しが変化したりしているようで、まだ完全に気が抜けないところだろう。
原発の安全神話が壊れた状況で、これから日本で原発が新設されることは、ここしばらくはあり得ない。しかし、電力も行政も莫大な資金を投入したてまえ、なかなかあきらめることもできないので、一縷の可能性に今後もしがみつくのかもしれない。
つくづく、30年以上、この島の人たちはよく戦ったものだと感心する。権力とカネに負けない人たちは無条件に尊敬する。でも、30年の闘いは地元の交友関係やコミュニティををズタズタにする歴史でもあったようだ。親兄弟、親戚、友人関係、原発はそんなものまで破壊する。
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