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2012年11月15日 (木)

「気になるガウディ」

2012110170552

「気になるガウディ」磯崎新著/とんぼの本/新潮社刊/2012年7月/1600円+税

ガウディ嫌いの磯崎さんがガウディの解説書を書いた。本書は『芸術新潮』2002年7月号のガウディ特集号を再編集したものとのこと。それにしても10年は長いような気がするが、磯崎さんの忙しさのせいか、ガウディがいまタイムリーになっているのか、どちらかだろう。

「ガウディが嫌いというより、ガウディが好きな日本人が嫌いなんだ」本書にある磯崎氏の正鵠なガウディ評である。かように、日本人はガウディが好きらしい。1960年代以来、一定の周期でガウディブームがやってきて、サクラダファミリアは日本人観光客で長蛇の列ができている。

磯崎氏はサクラダの建設続行には批判的なスタンスであり、バルセロナの当局者に建設中止を進言したことがあるらしい。それに対して「それは無理なんだ。日本人がたくさん訪ねてきてお金を落としていくから」という冗談混じりの答えがかえってそうだ。わたしもガウディは好きだ。たぶん日本人の血が流れていることも影響しているのだろう。

本書で磯崎さんはガウディの6つの作品について詳細に語っている。ガウディはこの6つを見ればよいという意味でもある。また、ガウディの合理的な精神と構造技術者としての資質をよく理解している。グエル教会の逆さ吊りの構造模型は有名だが、それにかぎらず、狂気に支配されたかのようなガウディの作品が、すべてに合理的な手法で構造や設備が成立していること、カタルーニャ・ボールトと呼ばれる薄いレンガでできる合理的かつ現地の技術を駆使して複雑な造形をものにしていること、などを教えてくれる。

やはり磯崎さんは優秀なひとだとおもう。それに、まだほとんど観光客のいなかった時代に、主要な作品をちゃんと見学している。そのうえで「嫌い」だと言ってのけていたのであった。

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