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2012年2月22日 (水)

吉阪隆正とル・コルビュジェ

2012012462672 倉方俊輔 著、王国社、2005年9月刊、2000円+税

倉方さんはいい人だ。その恩義にせめてこたえようとおもい、数年前に購入した本。

吉阪さんといえば大学セミナーハウスである。八王子の丘陵地にあり、逆三角形のピラミッドが大地に突き刺さる特徴ある建物だ。

吉阪さんは建築家でもあるけれど、都市計画家そして教育者あるいは設計事務所の主催者として優れた後進を育て、日本建築学会長はじめいくつかの役職にも付き、幅広い活躍をしている。そんな氏の生涯と生活を、生い立ちからコルビュジェとの出会いと子弟時代、帰国してからの活躍期と晩年までを、氏の書簡や日記などを丹念に収集し再現してくれている。

意外であったが、これまで、まとまった吉阪さんの評伝本がなかったそうで、今回、このように充実した内容の本をまとめあげた倉方さんの功績は大きい。倉方さんも早稲田建築の出身でもあるので、早稲田で建築を学び、教鞭をとった吉阪氏の本を書くには適任であった。

本書から・・『ル・コルビュジェの魅力は自ら物事を決定する「勇気」だ・・』。吉阪氏がコルに師事するに当たって、日本の家族にあてた手紙のなかの言葉であるそうだ。

たしかに、建築の設計では無数の決定をしなければならない。全てが自己の責任でなされるので、建築家とはその恐怖と闘う孤独な職業でもある。あたらしいことを考えるのはいいが、その実行は怖くてたまらない。だからいろんな人に相談もするし、文献や資料をあさり、模型もたくさん作るし図面も書く。前例がないことをするのはたいへんである。しかし、勇気をもって、それをなしえた人だけが建築のあらたな領地を手に入れ、その世界を拡大し、歴史に名を残す。勇気だけではだめだが、勇気がなくてはなにごともなしえない。

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