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2011年10月26日 (水)

ソニー銀行

2011100660112

「銀行マン」のいない銀行が4年連続顧客満足度1位になる理由/上坂 徹著/幻冬舎刊/2011年8月/1300円+税

長いタイトルの本だが、読者の気を引くにはいい。わたしもつい、引かれてしまった。

ソニーと銀行、なんだか不思議な取り合わせだ。ソニーが銀行をつくり、しかもネットだけの銀行であることはなんとなく知っていた。銀行としては50年ぶりの新規開業だそうだ。優良企業の余裕の多角化の一環であろう程度にしか考えていなかったが、さすがはソニー、しっかりその革新性をアピールしてくれている。

なぜ銀行は3時に閉まるのか、なぜ自分の金を引きだすのに平日の昼間に行列をつくって、あるいは休日に金を払ってまでしなくちゃいけないのか。預ける利子は雀の涙のくせに、借りると暴利をむさぼる、こんな殿様商売は銀行くらいだろう。なぜみんな不思議におもわないのだろうか、そんなもんだと慣れ切ってしまっているのだろう。

以前、山本夏彦氏の著作で、かつては銀行員は借金取りの冷血漢だと嫌われていて、嫁のもらい手に苦労した時期があり、高給取りだが人に嫌われるところでバランスが取れていたが、現在ではかたい職業の高給取りとして結婚相手に困らないのがおもしろくない、というような文章を読み、なるほどなとニヤリとしたことがある。

たしかに、これまでの銀行は顧客のことなど考えてはいなかったようだ。旧態依然とした保守的な金貸し業では、護送船団方式に守られて考える必要もなかった。本書もそう指摘し、ソニー銀行に他行から移ってきた中核社員たちのコメントにもそうある。だから、ソニーがつくる以上、銀行は徹底的に顧客志向である。さすがはソニー、それまでの常識をすべて疑い、顧客の望む新たなカタチを示してくれる。

ソニー銀行のめざす顧客は自立した個人である。銀行のいうがままに資金を動かす人物ではない。自分で考えて自分の貴重な資産の運用を判断できる人だ。だから必要な情報はすべて開示するが、こうしなさいとは言わない、自分で判断してもらう。そして正当な対価として利益をあげる。

ここまではユニークかつ秀逸な銀行として支持されてきた。ただ、まだ規模は小さい。これからソニー銀行がどういう方向へ舵を切るのか注目である。いつまでユニークさを維持できるか、長じればなんとかで、いつまでもこのままではいかないかもしれないが、「さすがはソニー」と革新性に期待する。

できればこの銀行でローンを組んだり資産を預けてみたいが、貧乏事務所につき縁はなさそうだ。

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