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2011年6月19日 (日)

宮脇檀 旅の手帖

2011053154832 『宮脇檀 旅の手帖』宮脇彩 著、彰国者 刊、2008年3月第2刷、2800円+税

建築家 宮脇檀(まゆみ)さんの旅の手帖を単行本化したもの。著者の彩さんは檀氏の娘さんだ。旅の多い檀氏と多くの旅に同行していたらしい。氏はホテルに着くと必ず室内を実測し、旅の手帳に記録する。高級ホテル、安宿、国内外貴賎なしである。そんなとき、彩さんは実測係としてアシスタントをつとめたという。

スケールは1:50に統一してあるので部屋の大小が一目瞭然である。着色仕上げのされたスケッチもあれば、単線だけのシンプルなものもある。設備や照明等も記載されていて、設備や機能にも一家言のあった檀氏らしいスケッチである。

ホテルの実測図といえば、妹尾河童さんの「覗いた」シリーズがすぐ思い浮かぶ。こちらも詳細かつ手慣れたスケッチが添えられているが、舞台美術家と建築家の違いがスケッチに表れているようで、なるほどな、と感じる。

2011060154852 「河童が覗いたヨーロッパ」妹尾河童 著、新潮文庫 版

旅はいい。スケッチもいい。頭にしみて記憶されるだろうし、感じるものが違うはずだ。写真だと、シャッターを押した瞬間に全てをわすれてしまうし、見ることより写真を撮ることに気をとられて薄っぺらな印象になってしまいがちだ。

本書の<はじめに>から・・・・・・・なぜ実測するのかと、一度父に尋ねたことがある。「自分の手で測って描くことで色々なことが伝わってくるのだ」・・・「旅のすべてが勉強になるし、すべてが面白い」

ホテルの実測図の他に、窓から見える景色や旅先でのスケッチも多数ある。氏は、建築は手で考えるものだ、と言っていたような記憶があるが、まさしく納得である。

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