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2010年11月22日 (月)

遠藤勝勧さんのスケッチ

2010110347522 遠藤勝勧:スケッチ/日経アーキテクチュア編/日経BP社 刊

遠藤さんは建築家です。現在は独立していますが、菊竹清訓建築事務所に数十年にわたって務め、菊竹事務所のたくさんの傑作にかかわっています。もちろん、都城市民会館にも。

遠藤さんは外出先ではスケッチの鬼となり、家具や室内など建築の寸法を実測しながらメモに残しています。そして、それを後日清書してきちんと管理しているそうです。こうして、建築の実際の寸法が自分の血となり肉となって、設計するうえで最適な寸法やディテールの決定に役立つのです。

建築家であれば、たいていは似たようなことをしているはずです。いいものがあれば、見て、触って、寸法を測って確認する。こうして設計能力が養われていくからです。でも、遠藤さんほどの人はなかなかいないでしょう。本書には、氏が数十年にわたって実測してスケッチしてきたおびただしい多数のスケッチのほんの一端が提示されているにすぎませんが、よくぞここまで、と感嘆するしかありません。こんな人がいたからこそ、菊竹氏の創造性の高いデザインが実現のものとして存在しているわけです。

本書には遠藤さんといくつかの著名な建築家との対談も収録されています。そのなかに、師匠である菊竹氏も登場しますが、そのやりとりのなかに、市民会館に関する記述があったので紹介しておきます。

《「建築基準法は人間のためにある」。そう言われて、僕なんかしょっちゅう、当時の建設省に行かされましたね。「法律を変えてこい」って。都城市民会館もそうやってできました。最近、都城市民会館は存亡の危機にありましたけど、残ったのはそれだけの歴史があって意味のある建築なんだということを、市民の人たちが分かってくれたからだと思います》

スゴイ文章です。具体的にどの部分が市民会館の法律を変えさせた部分なのかはわかりませんが、法律は市民の幸福のためにあります。そんな志を掲げて設計や申請業務につとめたいものです。

本書を見ると、やっぱり建築は見てナンボ、触ってナンボ、測ってナンボのものだとつくづく感じます。そういえば、さいきん、あまり見たり測ったりしていないな。昔はもっと貪欲に勝手に見学したり測ったりして怒られたこともあるし、犬に追いかけられたこともある。だんだん、年をとってくると、いい年をして怒られるのもイヤなので、正攻法的に見学を申し出ると、担当者がいないのでとかいって断れたり、写真はダメですとか言われたりもします。かえって、勝手に堂々と撮影したり見学することが上策のひとつだと言えますが、下策になってしまうこともあり、判断が難しいところです。

本書の著者の遠藤さんも、アメリカで見学・実測していて拘留された経験があるとか。また、建築写真家の二川さんは、塀を勝手に乗り越えて勝手に撮影し、番人が来たら睨みつけて堂々としていたという逸話もあります。さすがに二川氏のマネはできませんし、おススメもしませんが、見学にもパワーと熱意が必要です。

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