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2010年7月16日 (金)

僕らが夢見た未来都市

2010071245092 五十嵐太郎、磯達雄 著/PHP新書/2010年6月刊/900円

五十嵐さんと磯さんのふたりが、9つの章を交互に分担している。磯さんはSFチックな未来都市をおもに担当。五十嵐さんは、これまでにいろんな建築家などが発表した内外の主要な都市計画などを取り上げる。まえがきによれば、磯さんがフィクションを、五十嵐さんがリアル担当となる。

現在、上海万博が開催中だ。世界の工場から消費国へと進化しつつある中国の、国力をかけたオリンピックに続くビッグイベントである。わたしにとって、万博と言えばなんといっても大阪万博だ。「1970年よこんにちは♪」というわけで、その当時小学二年生だったわたしにとっても、生涯で最高の体験のひとつにあげてもいい。その後、約40年を経て愛知県で地球博があった。こちらも見学することができたので、日本で開催されたふたつの万博を両方とも経験できたことは幸運だ。

大阪万博は100%未来志向のお祭りだった。お祭りはノーテンキにはしゃいだ方が楽しい。空中都市への憧憬やテクノロジーの進歩と未来が輝いていた。かたや30数年をへて、地球博のころになると、輝ける未来などはなく、人類の繁栄が地球に落とす暗い部分が影響をあたえ、無条件にイベントを喜ぶ雰囲気ではなかった。内容そのものもパビリオン建築も、圧倒的に大阪に軍配が上がるだろう、奇をてらったぶったまげ建築のオンパレードに少年はわくわくしたし、地球博で多かった映像だらけの展示は新味がなかった。さて、上海はどうなっているのか知らないが、ノーテンキに高度経済成長の続く国だけに、けっこう楽しめるような気もするが、行く予定はいまのところないのが残念だ。

本書はエキスポにも詳しい。大阪も愛知のことも詳細に論じられている。エキスポは未来の都市を示すものだから当然だろう。大阪で示された未来感は日本では進化しなかった。ユートピアなど存在しないことが大阪から愛知への過程で示されたかのようだが、かわりにドバイやアジアの地ですこしは指向されrているのかもしれない。でも、ユートピアを夢見ることはたいせつだとおもう。これまで、多数の建築家が未来都市構想を発表していたが、さいきんはあまり聞かなくなった。ちょっと寂しい気もする。

そういえば、かつて名古屋に住んでいたころ、名古屋市の大改造計画の構想を練ったことがある。学生の荒唐無稽な思いつき程度のものだが、できばえはともかく考えるのはとても楽しかった。ヒットラーにでもなった気分でやりたい放題できるのだから楽しいはずだ。建築であれ都市であれ、考える対象が大きくなるほど楽しさが増すのは自然だろう。できっこないとあきらめたらつまらないし終わりだが、機会があったら夢見る夢子ちゃんに戻ってまた考えてみたい。これは間違いなく楽しい。

著者の五十嵐さんも磯さんにも面識があるので迷わず本書を手に取った。これも都城市民会館のおかげだ。おふたりともますますご活躍のようだ。それも市民会館のおかげも少しはあるだろう、なんてね。見てナンボ、体験してナンボである。

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