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2010年3月 5日 (金)

新たな「みやざき県産材の家」セミナー

宮崎県木材協同組合連合会というところから、セミナーを開催しますという案内がきた。おもしろそうなプログラムだったので行ってみた。

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会場は宮崎市の老舗ホテルである宮崎観光ホテル。大淀川の橘橋南側から見る河畔に建ち並ぶホテル群のなかに、新旧ふたつの緑色の建物が映えているホテルだ。設計はたしか日建設計だったか竹中だったか、旧版の「建築MAP九州」には掲載されていたのに失くしてしまい、大きくなった新版には載っていないので確認できないでいる。このホテルでは建築系の講習会や講演会がよく開催されるので、ちょくちょく足を運んでいる。

基調講演は東京で住環境アドバイザーとして活躍する松岡在丸さん。示唆に富んだいい内容だった。さいごに氏の住宅なのかモデルハウスなのかをスライドで写してくれたが、県産材(都城)の大径木(7寸角)を使用したそうだ。宮崎県は杉材の産出日本一であり、まだまだ大径木だってふんだんにあるのである。リビングの中央に太い大黒柱があり、見学者はみな抱きつきたくなるという。わたしたち建築家なら大径木も吹き抜けプランも建築誌や実物で知っているので感動はなかったが、せっかくなので、だれか建築家を起用して設計してもらえばよかったのになとおもう。

このあとは5件の事例発表があり、それぞれ県内の設計事務所、工務店などがチームを組んでの実践例の紹介である。

トップバッターは「注文の多い建築料理人 ゆうぼく人」の川添さんが発表。この人は建築家などの勉強会である「竹の会」の事務局もになっていて、環境にも一家言のある事務所名のとおりユニークな建築家だ。都城市民会館の保存活動でもお世話になった。

海野さんという建設会社の人が、延岡城址のすぐ近くの住宅を発表してくれた。設計は小澤さんという北海道の大学で教鞭をとる建築家であり、氏のパートナーが延岡出身という縁で設計を担当したそうだ。昨年、この住宅の竣工の際に、知人の建築家から延岡まで見学会に行かないかと誘われていたのだが、タイミングを逃し残念におもっていた住宅であり、おもいがけない収穫だった。2階を開放的なリビングにした好感のもてる住宅だった。「モクセン」というタイトルのプロジェクトについての発表だったが、これは、木造で1000万円の家をいかにつくるか、という意味のモクセンであるそうだ。

日本の住宅は高いとおもう。坪40万だとか50万だとかの数字が巷間に流れるが、都会部では60~70万もざらであるという。かたや、GDPなどの指標では、日本よりはるかに下位に位置する国でも、テレビなどの映像を見る限り、けっこうリッチかつ広い住宅に住んでいる。また、2000万円も出せば、りっぱな豪邸が建つという諸外国の話も耳にする。いくら物価の安い南九州でも2000万円で豪邸は不可能だ。日本の家が諸外国に比べて価格の程度に高性能かというとそうでもなさそうだ。吹けば飛ぶような安普請とまではいかなくとも、築30年程度で捨てられるしろものである。かといって日本中の工務店がぼろ儲けしているかというとそうでもなく、青息吐息でヒーヒーしているのが実情であり、なぜこんなに住宅に発注者も受注者も心身をすり減らすことになるのかわからない。

ひとつは、建築の作り方の問題であり、家一軒の普請にいろんな職種が入り込んでくるということもあるだろう。基礎屋(左官屋)さんにはじまりプレカット屋、大工さん、板金屋(瓦屋)、サッシ屋、コーキング屋、住設屋、クロス屋、塗装屋、建具屋などなど、昔なら大工の棟梁がはじめから最後まで数人の職人を引き連れて完成させた。もちろん、設備、建具など専門職はいまと同じくであるが、その種類数は今よりはるかに少ないく、まさしく棟梁が棟梁だった時代だ。工務店には職人さんは通常は(例外もある)いない。いるのは監督さんだけであり、じっさいに仕事をする専門職はすべて下請け・外注となる。その職人さんたちはフリーか、やはり零細な自営業者がほとんどであり、元請けの工務店もそれに同じであり、どうしても高コスト体質になるのではなかろうか。

もうひとつは、建築界独特の代理店制度だろう。メーカーから出荷された材料は、いくつかのクッションを経て最終の現場に納入される。中間で数段階のマージンが抜き取られることになる。

1000万円でひろびろとした見栄えのするりっぱな家ができないものか、わたしもつねに問題意識をもってはおり、設計にあたりコストを下げるため階高を抑えたり神経を使うのだが、実際はその部分があまり見積に反映されていなかったり、なかなか難しい。宮崎県は林業国でもあり杉の素材単価はおどろくほど安い。しかしそれが製材され大工さんにわたり、住宅として組み立てられると、それなりの金額になっていしまう。ただ、職種を減らすということは効果があるので、おもいきって仕上げを変更したり、割り切ることも必要だ。

セミナーに話をもどそう。都城市内からも2件の事例紹介があり、それぞれ工務店の担当者から発表があった。世情に疎いわたしには、市内にもいろんなチャレンジしている事例があることを知る。日向のチトセホームも良心的な家づくりを実践しているようで好感がもてた。

セミナーの最後に木材利用技術センターの飯村さんが講評を。この人は木材のエキスパートであり、センターの有馬所長が赴任するにあたって民間の会社から引き抜いてきた優秀な研究者である。世界の木材利用の状況をグローバルな視点で見てきた人であり、飫肥杉という建築構造材として疎にして荒いという欠点もある木材を、県産材の普及目的のため研究している。行った甲斐のあるいいセミナーだった。

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