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2009年7月 5日 (日)

配筋検査/花木の住宅

縄張りを確認すると、いよいよ本格的な着工となる。基礎工事である。

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現在はほとんどの住宅がベタ基礎を採用しており、昔ながらの布基礎はあまり見なくなった。つい15年ほど前までは、鉄筋も入っていない布基礎が主流だったことを考えると、雲泥の差があるようにおもう。

ベタ基礎は敷地の地面上に、厚さ15センチメートル程度の鉄筋コンクリートの薄い板を敷き詰めるものであり、これをスラブと呼ぶ。ベタ基礎は住宅への湿気の侵入を防ぐための防湿コンクリートの機能も持つが、一昔前の防湿コンクリートは厚さが5センチほどしかなく、鉄筋も入っていないので構造には役立たないものとして扱う。

布基礎は建物の間取りの形にコンクリートの壁を立ち上げるもで、30センチほど掘りこんだ地面下に幅が50センチほどの水平面を持つ。これが建物の荷重を地面に伝えるのだが、ベタ基礎は建物全面の水平地上面により荷重を支えるので、布基礎と比較すると、強度的にはかなりの差があることになる。

この住宅の場合は板金屋根、板壁外壁の平屋であり重量的には軽い構造なので、スラブの配筋はシングル配筋であるが、2階建てや瓦葺き、モルタル壁のように重い仕様になるとダブル配筋といって、タテヨコの配筋を上下二重に配す。

しかし、ベタ基礎が万能かというと一概には言えなく、敷地が部分的に軟弱地盤だったりすると、基礎の水平面全体が、つまり家全体が傾いてしまうことになりかねない。その点、布基礎だと局所部分的に沈下するので、その修復はまだ容易であるのかもしれないが、近頃はじまった(正確には10月以降の引き渡し住宅から)瑕疵担保保険に加入するについては、地盤調査が必須となるようなので、布基礎にしろベタ基礎にしろ、適切な設計がなされることになるだろう。

ベタ基礎は敷地の地面を薄くはぎ取り、そこへ15センチ程度の砕石を敷き詰める。それをランマーと呼ぶ転圧機械でじゅうぶんに締め固める。強力なばね仕掛けの跳ね跳び器具のようなものであり、50キログラムほどのランマーが、エンジンによりぴょんぴょん跳びながら締めつけるので、かなり強固な砕石地盤ができる。ここまでを専門的には地業工事といい、一般的にはこれから先がコンクリート、鉄筋、型枠工事とそれぞれ専門職が入って別の工事になるのだが、住宅の場合だと、全部まとめて左官屋さん行うことが多く、基礎工事とひとくくりにされる。

その砕石の盤の上に、防湿用のポリエチレンシートを敷き、鉄筋を配してコンクリートを打設する。これでベタ基礎の完成だが、実際には外壁や建物の間取りに対応するコンクリートの立ち上がり部分も必要なので、合わせてその配筋もしなくてはならない。

じつは、この部分がベタ基礎にとっても構造的に重要であり、この立ち上がり部分がないと、コンクリートとはいえペナペナの薄い板にしかならない。薄い紙を水平にして手に持つと、ペナペナで頼りがないが、これに幾筋かの折り目を与えると、しっかりする原理である。

この立ち上がり部が連続せずに切れていると、構造的には致命的な欠陥となる。だから昔みたいに床下換気口は現在の住宅にはない。かわりに、ネコ換気と呼ぶ方式が主流である。これは、立ち上がりコンクリートの上面にゴム製の板状のピースを1メートル間隔で置いていき、基礎全体での換気を可能とするものだ。これが製品化されたのはここ10年ほどのことだが、その前からこの方式は知られていて、そのころはタイルや堅木の木片などを使用していた。この場合のネコには、ちょっと浮かして持ち上げるためのものという意味があり、鉄骨工事などで用いられていた用語である。

また、ネコ換気は通常の床下換気口と併用することが主だったが、それは住金の仕様がネコを認めていなかったことによる。10年ほど前にはゴム製品が発売され、住金もそのコンクリート欠損のないネコ換気の有用さを承認して一気に普及した。現在では、部分的なピース材ではなく、グレーチング的な形状の全面タイプが主流となっている。

さて、そんなわけで外周部は立ち上がりが換気口がなく連続してつくられるのでいいのだが、問題は内部である。よっぽど小さい住宅ならともかく、ベタ基礎の外周部だけ立ち上がりで強固にしても、内部にもそれなりに紙でいうところの折り目が欲しい。しかし、実際には床下にもぐって配管工事をする必要もあるし、メンテナンスに床下全体に行けるようにするには、どうしても立ち上がりに欠損部は必要である。これを人通口とも呼ぶが、さいてい人が通れるだけの(60センチ程度)の欠損は必要だし、これがないと床下の換気にもよろしくない。しかし、強度的には不安が残る。

その不安を解消するのが地中梁である。もともとはコンクリートや鉄骨造の建物の基礎を強固につなぐためのものだが、木造でも果たす機能は一緒である。写真で台形に掘り下げた部分が見えるが、この部分がその機能を果たしている。これだけでは高さがなく(この高さのことを建築では「せい」と言う)弱いのでその上下に主筋と呼ぶ鉄筋を数本流し、スターラップ(あばら筋ともいう)という鉄筋で補強する。これで立ち上がりの欠損部に備えているわけだ。外周部は三角形に地中に堀りこんで鉄筋で補強し、地中梁としての機能をより強固にする。

でもこれは、一般的なことではない。ほとんどの住宅は二階建て・瓦葺きでもこの住宅の基礎の仕様に及ばないだろう。よその現場を見ていると、外周部を三角形に掘りこんだものは見かけることもあるが、内部に地中梁を配した住宅はほとんど見ることはない。やはり、基礎は設計事務所の設計したものにかぎるようだ。といえば手前味噌だが、建築基準法では地中梁も先述したダブル配筋も要求していないし、任意なので、強固なスラブとはとてもいいがたいベタ基礎の住宅がこれからも立ち続けることだろう。ただし、しっりした地盤に建つ住宅なら、無筋の布基礎しかもたない建物でもしっかりとしているわけであり、必要以上に神経質になることもない。

ただ、目に見えないところは、放っておくとどうしても手を抜くというか金をかけないことになりがちなので、注意を要した方がいいだろう。じっさいには、沈下など地盤にまつわるトラブルはちょこちょこあるように聞く。

コンクリートは水硬性なのでその硬化には水分が欠かせない。でも打設時の雨は禁物だし、水セメント比といって、生コン中の水分比は少ない方が強度的にはいいのだが、これが低いと施工性がわるくなり施工者はあまり歓迎しないことが多い。ただ、密集市街地ならともかく、一般住宅だと、基礎コンクリートの施工にポンプ車を使うことはほとんどなく、写真のようにクレーンでつるしたバケットに、生コン車からコンクリートを移して、少量づつ流し込んでいく方式だと、スランプうんぬんはあまり問題にされないので、スランプ15ほどの固めのコンクリートにする。しかし、打設後は、ある程度の雨は歓迎だし、晴天が続くようなら水をかけて養生した方がいい。このへんも一般的にはあまり重視されていないようだが、適切な監理者の存在は重要である。

さいごの写真は、この日打設した生コン車のコンクリートの納品伝票である。わたしはこの伝票で設計図に記載したコンクリートの強度とスランプ(コンクリートの軟らかさ示す指標・0~30で表示し少ないほど硬い)を現場で確認することにしている。

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