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2009年7月25日 (土)

docomomo Japan 2008+10

すぐれた近代建築の保存に取り組む専門機関であるdocomomo Japanが今年度の建築選10作を選定した。以下にそのリストを掲げる。

古いものは1934年、あたらしいものは玄庵の1975年ということになる。

玄庵は、わたしが学生時代にもっとも衝撃を受けた建築のひとつだ。それがdocomomoに選定されるとは、時代の流れと自分の年齢を思い知る。先日、このブログで紹介した「開拓者の家」と同じ設計者であり、同じコルゲートパイプの建築である。

リスト最初の高津邸はネットで検索したが詳細はわからなかった。上野伊三郎氏が京都で活躍した建築家であること、夫人はリチさんといい、オーストリア生まれのデザイナーであったことはわかった。数年前、目黒美術館で夫妻の展覧会があったらしい。

梅月堂は今回はじめて写真を見ることができたが、1936年とはおもえないいかしたデザインである。

馬場烏山別邸は懸案になっている東京と大阪の両中央郵便局を設計した吉田鐡郎氏の設計になるもので、やはり戦前とはおもえないモダンデザイン住宅の佳作である。鳩山大臣の辞任は郵便局の行く末にとって心配なできごとだったが、新たに政権に当たるであろうといわれている民主党などの政治家にも、きちんとこの建築の価値を知って欲しいものだ。

松井田町役場は白井晟一の有名な作品なので、写真ではなんども見たことがあるが、ようやくdocomomoに選定されてよかった。

鳴門市役所その他もはじめて知る建築だった。増田氏は他にも鳴門の公共建築を多く手掛けている。地域に信頼された幸福な建築家だ。

芦屋市民会館も名作である。迫力のあるコンクリートの塊が特徴だろうが、いまでは蔦がからんで風格と落ち着いた景観をもっている。神戸の震災直後に外観だけ見たことがあるが、大地震にもビクともしていなかった。

まつかわ ぼっくすは住宅建築の名人・宮脇檀氏の名作のひとつであり、氏としては、これがはじめてのdocomomo入りだろう。氏が亡くなってからすでに10年近くになるだろうか。死んでも作品がのこるから建築家はありがたい。いや、おそろしい。

今回は四国からひとつ選定されているが、九州はゼロだ。建築はその時代の文化の容れものであり、文化そのものだから経済に密接に関連する。だからどうしてもすぐれた建築は文化と経済の中心たる都会に集中することになる。だから都城市民会館の存在は大きい。

2008 年度 選定作品+10

○「高津邸(現:谷良徳邸)」 

  設計者:上野伊三郎 竣工:1934 年9 月

○「梅月堂(現:YT 梅月館)」山形市

  設計者:山口文象 竣工:1936 年10 月

○「馬場氏烏山別邸(現:光風亭)」東京・世田谷区

  設計者:吉田鐵郎 竣工:1937 年12 月

○「松井田町役場 (現: 松井田町文化財資料室)」群馬県

  設計者:白井晟一 竣工:1956 年

○「鳴門市役所および鳴門市民会館」 徳島県

  設計者:増田友也 竣工:鳴門市民会館1961 年 鳴門市役所1963

○「芦屋市民会館(現:芦屋市民センター)」兵庫県

  設計者:坂倉建築研究所大阪事務所(西澤文隆・山崎泰孝) 竣工:1963

○「東京芸術大学(図書館・絵画棟・彫刻棟)」東京・台東区

  設計者:天野太郎・茂木計一郎・平島二郎・天野吉原設計事務所

  竣工:図書館:1964 年 絵画棟:1968 年 彫刻棟:1971 年

○「武蔵野美術大学アトリエ棟」 東京都小平市

  設計者:芦原義信建築設計研究所 竣工:1964 年

○「まつかわ・ぼっくす」 東京・新宿区

  設計者:宮脇檀 竣工:第一期1971 年 第二期1978 年

○「幻庵」 長野県

  設計者:石山修武(DAM・DAN)竣工:1975 年2 月

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