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2009年6月15日 (月)

ビニールハウスプール

宮崎県の北部に延岡というまちがある。旭化成の企業城下町として発展してきたまちであり、宮崎県は県北の延岡、中央部の宮崎市、県西南の都城と、理想的な3極構造にあったのだが、さいきんでは宮崎市ばかりが隆盛のようで、一極化が進行している感がある。

さて、その延岡に用事があり行ってきた。東海とかいて「とうみ」と呼ぶ中学校へ行ったのだが、都城から車で3時間かけて到着したその場所に、テレビで見覚えのある建物があった。

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ビニールハウスかとおもいきや、「松田選手おめでとう」などと書かれたたくさんの垂れ幕があるので、すっかり有名になった、あの松田選手を育てたビニールハウスプールだとすぐわかった。

ペキンオリンピックから、はやいものでもうすぐ1年にならんとしているが、あの興奮と熱狂の日々がなつかしい。オリンピックのメダル効果はすごいものがあり、4位入賞だと見向きもされないが、メダルさえ取れば日本中が祝福の嵐になる。おかげで、松田選手も久世コーチもテレビにひっぱりだこだったし、このプールも松田選手を育てたユニークなものとして再三取り上げられた。

たしかに、ぱっと見たところでは、野菜か果物かを栽培するビニールハウスである。垂れ幕がなかったら気付かなかったかもしれない。中に入ってみると、さすがに暖かい。初夏の陽光が降りそそいで、汗ばむほどの気温である。たぶん、水温もそこそこ上がるのだろう。

同行の人の話では、このプールは延岡市立東海中学校のプールだそうだ。だから体育の授業でも使用する。それを、授業以外の時間にスイミングクラブが借用しているのだそうだ。吹きさらしの野外プールではさすがに冬場の練習はできない。そこで、ビニールハウスとあいなったしだいだが、冬場はいいのだが、夏場はめちゃくちゃ暑いらしい。たしかに、見たところ、全面ビニールに覆われていて、上部に換気扇がカタカタ音を言わせながらまわってはいるものの、涼風を呼び込む開口部は少なそうだ。

松田選手の活躍で注目を集めたため、もっと立派な施設にしろとかいう声もあるようだが、あれから一年、まだこの状態で現役であった。わたしが訪れたのは土曜日の午前中であり、たくさんの子どもたちがコーチの指導を受けていた。

劣悪な環境だと人間は工夫をする。だからこのプールはできた。必要は発明の母である。こうして松田選手も育った。自分で考えることはスポーツにかぎらず重要なことだが、めぐまれた環境でも自分で考えることはいくらでもあるだろうから、めぐまれた環境の方がいいに決まっている。ただ、甘やかしてはよくない。

必要かつ最低限の充実した空間と機能と設備をもち、人間を甘やかさない精神性や要素をあわせもつ。これが理想の建築だということだろうか、なんて建築にこじつけてみたりする。

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