茗渓学園プロジェクト
スポーツを見るのが好きなわたしは、茗渓学園という名前は知っていた。毎年、正月におこなわれる高校ラグビーの強豪としてだ。
おそらく、その名前と私学ということから、金にあかせて選手をスカウトしてくるスポーツ私学だとばかりおもっていたのだが、あにはからんや、130年もの歴史と由緒を誇る、日本の学校教育界に君臨する名門茗渓会の運営する特異な学校であるという。
かつて、東京教育大学という名の学校の先生を養成する日本でトップバッターの大学があり、今から30年ほど前に筑波大学と名をかえ東京から茨城県に移転する。この前身の大学には、付属校として駒場高校(小中学校も?)があった。ところが、その駒場校は移転せず東京にとどまることになる。そこで、東京教育大学のOB会は、移転・設立される筑波大学の教育活動をたすけるため、付属中学・高校的な中高一貫校の設立を決定した。このOB会の名前が「茗渓会」であり、学校の先生なら承知のことなのだろうが、学校にいい印象をもっていないわたしとしては知る由もないことだ。
日本の教育界の最高峰のお歴々を多数擁する名門「茗渓会」は、その新しい学校の校長に岡本稔を選出する。
本書は、その岡本が一からつくりあげた茗渓学園の、30年間の歩みを詳述した内容である。おそらく開学して30周年を迎えるにあたっての記念出版だろうし、主人公の岡本が先年亡くなったことで、その功績を顕彰するためのものでもあるだろう。しかし、それを割り引いたとしても、わたしはこの学校にすごくいい印象をもった。できることならわが子をこの学校に入れたいくらいである。それほどすばらしい実践が本書にはある。デモシカも日教組も文部省も関係ない、純粋に子どもの教育に全身全霊をかたむける教師像と世界で活躍する人材を育成するためのユニークな学校が見て取れ、卒業生にはキラ星のごとくに今をときめく人材が多数ある。ただし、その分学費はけっこうするらしい。いい教育にはそれなりの費用がかかって当然である。
本書の正式なタイトルは『出る杭を伸ばせ』である。いいねー。キヨシローみたいだ。
来年の正月、もしこの学校がラグビーの全国大会に出てきたら、無条件で応援したいとおもう。
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コメント
コメントありがとうございました。
おかげで認識を深めることができました。
投稿: ブロ長 | 2009年10月 7日 (水) 00時28分
茗渓ラグビー部は2年連続佐賀工業に引き分け抽選で花園ベスト8を逃しています。1月1日越えは父母にとっても今や悲願。応援よろしくお願いします。
茗渓は、進学でもスポーツでも学校の数字をあげるために子供を利用しない安心できる学校です。ラグビー部の子供たちもスポーツエリートではない普通の子たちで卒業すれば、医学・文系・理系と進路はそれぞれ個性的です。ちなみに授業料もまわりの私学と比べて決して高くありません。安いかも。
投稿: | 2009年10月 6日 (火) 21時17分