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2009年4月25日 (土)

南龍堂書店

京都に大龍堂という本屋さんがある。関西在住の建築界の人なら知らない人はいないだろう。わたしも京都に住んでいたころは、しょっちゅう行っていた。

京都御所を区画する南側の筋が丸太町通りであり、東側の筋を河原通りという。その河原町丸太町の交差点から西側の一筋目の通りを南にちょっと行ったところにこの本屋さんはある。

下の写真で見るとおり、ごく一般的な京都の町屋を改造した店構えであり、改築設計は京都を代表する建築家のひとりであり、もっとも京都らしい設計者ともいえるかもしれない吉村さんによる。

Scan10055

この書店は建築書の専門店である。10坪にも満たない小さな書店だが、内部は建築書ばかりであり海外の雑誌やめったにお目にかかれない珍しいものなど建築で満たされた幸福で静かな空間は多くの専門家に愛されている。

この小さな店には、中央に4人掛けのソファ置かれていて、テーブルにはいつでもホットコーヒーが用意してある。書棚から手にとった本を、ゆっくりコーヒーを飲みながら愛玩・吟味するのがこの書店の流儀なのだろう。だからここは、建築を愛する人たちのサロンにもなっていた。(今でもそうなのかもしれないが、わたしが知っているのはもう15年以上も前のことなので過去形にしておく)

また、この書店は出版も手掛けていて、独自の企画でいくつかの良書を世に出してもいる。このように、単なる本屋さんではなく、建築関係者のサロンでもあり出版者として情報を発信するなど旺盛な活動をおこなっている。

さて、タイトルの南龍堂書店というのはどこにあるのかというと、架空の本屋さんである。都城に建築の専門書店をつくりたいという夢がわたしにはあり、その店名だけは決まっていて「南龍堂」である。もちろん、京都の大龍堂から一字をいただいている(かってに)。南は南九州の南であるが、東京にあるやはり建築専門書店「南洋堂」の「南」でもある。つまり、東京と京都にある建築書店の雄からそれぞれ一字づつをいただいているわけで、これ以上のネーミングはないといういい名前であるとはおもうのだが、残念ながら開店はいつの日になることか。

先ごろ、都城の旧ダイエーがイオンモールとしてリニューアルオープンした。そこには、巨大な書店も客寄せの目玉として入ると聞いていたのだが、実現したその書店は、残念ながら建築書のコーナーは既存店とあまり代りばえはしないものだった。同じ南九州でも鹿児島に行くと専門書が充実した本屋さんがある。福岡まで足を延ばせばさらに充実するが、とくに、建築書は宮崎県は見劣りがし、それは大学の建築コースがないことと密接に関係があるのだろう。最高学府がないということは、それを研究し学ぶ人たちが少ないということであり、専門書のニーズがない、売れない本は置かない、建築のレベルが上がらないという負のスパイラル的な環境に宮崎県の建築界はある。

ただでさえ、大型書店に押されて小さな街の本屋さんは厳しい環境にあるだけに、専門書の本屋さんは厳しいだろうが、大龍堂のような、愛好家のサロンを兼ね備えた小じんまりとした居心地のいいスペースが欲しい。本屋さんが無理なら貸本屋または図書館でもいい。そんな意味では宮崎県の建築家の有志などで構成する「竹の会」がやっている「建築図書館」がそんな役割を果たしているのだろうが、これもじゅうぶんに活用されているとは言い難いし、都城からは遠い宮崎市の青島にあるのが惜しい。

南龍堂のオープンはいつになるかわからないが、もしかして老後には趣味と実益をかねた細々としたサロン的な店ができるかもしれない。世の中は大型化と、ユニークさを売りにする小型特化の二極化に流れているようだから。

追伸 ネット時代のいま、大龍堂書店ではインタ-ネットによるメールで建築や出版に関連する各種情報の発信もおこなっている。京都に限らず、建築の愛好者には有益なものだとおもうので、興味のある方は大龍堂までどうぞ。情報の発信は有料のようですが、メールの受信は無料です。

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