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2009年2月10日 (火)

建築の原型

宮崎県の中部に田野町というまちがある。毎年、冬になるとだいこんを寒風にさらし、おいしい漬物にするためのやぐらが組まれる。大きいものは長さが50メ-トルほどもあり、この巨大なやぐらにびっしりと吊るされた大根の姿は壮観であり、この地域の冬の風物詩である。

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写真でみるとおり、丸太(さいきんではスチ-ルフレ-ムのものもある)でほぼ正三角形になるように組んであり、さらに竹のフレ-ムで二重に組んであるが、これは大根を霜から守るためのブル-シ-トを掛けるためのもののようだ。ブル-シ-トはロ-プで上げ下げできるようになっていて、昼間は足元にたたまれている。竹組は上方で交差してなお天に伸び、神聖な神社の千木(ちぎ)のようでもある。

高さは三角形の頂点で5~6メ-トルほどあり、やぐらの内部はかなり広い。居住用スペ-スにするとしても、じゅうぶんな広さがある。

この光景を見るたびに、建築の原型はこれだろうなとおもう。もちろん、こんなに大きなものではないが、丸太あるいは竹を地面に立て、頂点で結ぶと三角形ができる。それをいくつか横に連続していけば容易に居住スペースができる。これを木の葉や草で覆えば竪穴式住居のできあがりであり、現代ならブルーシートで覆われる。

なぜこんなことを書いているかというと、不況のあおりで派遣切りなどが相次ぎ、大量のホームレスが生み出されかねない報道が年末から続いているからだ。まさか、このやぐらを都会に運んでホームレス用の住居にしたらというのではない。もっとマシなところに人は住むべきだし、それでなくとも日本の住宅はすでに大量の余剰を抱えている以前に、住宅に困窮している人たちには最低限かつ快適な住居が保証されてしかるべきであり、そのために行政が存在する。持家政策なんか幻想だろうし正当性も見いだせない。ちっぽけな賃貸マンションに10万か20万の家賃を払うなんで正気の沙汰とは思えないが、家賃5万円程度でそこそこの借家に住め、その気になれば同程度のローンで新築の一戸建てが手に入る南九州地域の方が、この点では健康的である。ただし、所得が日本でも最低レベルだからの話だ。

ただ、こんなにシンプルで力強いフレームとスペースを見ていると、わたしたちの現在の住まいが、いかにも過剰でありデコレーションされすぎているような気がするし、もっとローコストで広いスペースが提供できるのではないかという疑問が湧いて出る。建築も住宅も、もっと自由であればいい。

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