« 高嶺格『大きな休息』展 | トップページ | 「都市の記憶を失う前に」建築保存まったなし! »

2008年11月 5日 (水)

「建築史的モンダイ」藤森照信 著

1949414_img ちくま新書 2008年9月刊 740円+税

建築探偵・藤森教授の本。

野蛮人あるいは縄文人とも称される藤森教授は豪快な性格らしい。したがって、この人の書く本はおもしろい。前作の「天下無双の建築入門」が痛快だったので、ためらわずに読むことにした。

ところが、期待したほどおもしろくはなかった。野蛮ギャルドなおもしろさを期待していたのだから、藤森教授には迷惑なはなしだろうし、けして内容がつまらないわけではなく、藤森氏らしい、目からウロコ的な記述もたくさんある。以前ほど、文章からパワ-が感じられなくなったというだけのことで、内容のよしあしとは関係ない。

このことは、氏が建築史家から「史」がとれ、建築家へ転向したあかしなのかもしれない。建築史家が設計もやっている。しかも、古今東西の建築を実際に見て知っている人にしかできないムチャでイカシタ作品をつくる。これが氏の持ち味だった。文章を武器とする歴史家だったからこそ文章もおもしろかった。しかし、氏はすでに建築家になったのではないか。現在は、実作をとおして建築の可能性や表現の追求に思考が向いているのではないだろうか。こんなことを考えたのは、建築家の文章は、おうおうにしてつまらないからである。建築家は作品(実作でなくアンビルドでもよい)を通じて自己の思想を語るのであるからそれでいい。

柿(こけら)葺きという屋根がある。薄い木の板で葺いた屋根であり、わたしも知識としては知っていたが、なぜ柿(かき)の字があてられているのか疑問には感じていたが知らなかった。しかし、このパソコンでも見るがごとく、柿(こけら)も柿(かき)もまったく同じ字のようだが、じっさいは柿(こけら)の方は右側のつくりが市ではなく、たて線が突き抜けていることを本書でおしえてもらった。したがって、画数は柿(こけら)は8で柿(かき)は9画となる。ためしに辞書をひいてみると、はたしてそのとおりだったが、見た目はまったく同じである。せめて、活字で書く柿(かき)のつくりの市のさいしよの点は、区別できるようにちょっと斜めにして欲しいものだ。

柿(こけら)とは木クズの意があり、竣工に際し、柿を落として引き渡したことから「柿落とし」なる言葉があるのであった。これは広辞苑からの引用。

|

« 高嶺格『大きな休息』展 | トップページ | 「都市の記憶を失う前に」建築保存まったなし! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 高嶺格『大きな休息』展 | トップページ | 「都市の記憶を失う前に」建築保存まったなし! »