« 大阪・東京ふたつの中央郵便局 | トップページ | ネットいじめの真実 »

2008年9月11日 (木)

「大日本字」大日本タイポ組合の文字全集

19494072_img

著者:大日本タイポ組合、発行所:誠文堂新光社 2008年8月、2800円+税

タイトルをみて、いろんな活字の書体集だろうと勘違いして図書館から借りてきた。建築家は書体にもうるさい人が多く、図面に書く文字に気を使い、図面のタイトル用にレタリングの訓練も過去には必要だった。現在では製図はCADなので、それほどのことはなくなったが、やはり印刷物の書体には気をつかう。

さて、本書は書体集には違いないが、「大日本タイポ組合」というデザイナ-あるいはア-チストの文字作品集であった。内容はたいへんおもしろく、勘違いして読んでみて大正解であった。

「大日本タイポ組合」というのは、男性2人組のユニット名であり、漢字をカタカナで構成・表現したり、文字に関する再デザイン作業をとおして、新たな価値をつくりだしている。たとえば、本書表紙(上の写真)の「大日本字」と明朝で大書きされたかにみえる書体は、よく見ると、ダイニッポンタイポと読めるカタカナで構成された「文字」であるが、この写真では判読不能であるので、手にとってじっくり見てもらうしかない。タイトルの下に赤い印影のようなものがあり、ぱっと見たところギョウニンベンをつけた「条」のような字に見えるが、よく見るとタイポというカタカナを漢字らしくデザインしたものである。これなら写真でもわかるとおもう。

つまり、このような字体遊びというと失礼だが、そのような作品を集めた本である。しかし、ただの遊びを超え、洗練されたその作品はウイットとウンチク、ときには深い精神性を感じさせるものもあり、その手法・能力も、結成15年であり、すばらしいとうならせる領域に到達している。

そのなかで、やはりインパクトがあるのは、ナイキのマ-クだろう。おなじみのスウッシュと呼ばれるひらがなの「し」を横に倒したようなマ-クに、通常は「NIKE」のロゴが入るところだが、「在」という漢字がスウッシュの上に載る。「ナイキ」ではなく「アリキ」である。これだけでもおもしろいのだが、さらによく見ると、「在」ではなくカタカナでナイキと書かれていることがわかる。 このという字は、カタカナのナイキに容易に分解できる。上の横棒と斜めの線で「ナ」さらに斜め線と下へ伸びる線で「イ」その構えのなかにある「土」の縦線をちょっと下に突き抜けさせると「キ」である。写真を見てもらうと一目瞭然なのだが、勝手に載せることははばかられるので、ぜひ本書を図書館又は書店で見ていただきたい。秀逸かつ示唆に富む忘れられないデザインだ。

カタカナ、漢字、ひらがな、そしてアルファベットまで彼らは自在に変換し意味と価値を再創出する。おもしろい本に出会えてよかった。図書館とはありがたいものだと実感する。

|

« 大阪・東京ふたつの中央郵便局 | トップページ | ネットいじめの真実 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。