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2008年7月14日 (月)

「モダン建築巡礼」東日本編

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「日経ア-キテクチュア」誌の好評連載企画「昭和モダン建築巡礼」が単行本になりました。すでに「西日本編」は2006年に発刊(上写真右)されており、今回は「東日本編」がめでたく竣工(写真左)。

西日本編の巻頭を飾ったのは都城市民会館(菊竹清訓/1966)だった。その次は日南文化センタ-(丹下健三/1961)。巡礼隊の宮沢隊員(本誌でイラストを担当している)が、宮崎県にあるこのふたつをどうしても見たいと言う希望からこの企画はスタ-トしているのである。

東日本編は岐阜県から東が対象となる。羽島市庁舎(1959/坂倉準三)から東上し、北海道の登別温泉科学館(1957/太田実)まで20の建築を巡礼する。他にも8つの建築に寄り道しているのでつごう28の建築が巡礼先になるが、巻末に東京の国際文化会館(1955/前川国男・坂倉準三・吉村順三)を五十嵐太郎氏とKIKIさんとで訪ねる特別企画があるので、合計は29となる。その五十嵐氏はこの連載企画を「うらやましい、の一言」と評し、その言葉がそのまま本書のオビに採用されている。建築界に身をおくものとしては、まさしくこの巡礼隊は「うらやましい」かぎりであり、わたしだってそう思う。

西日本編に登場する28の建築のうち、半数はわたしも巡礼したことのある建物だったが、東日本編となると、ほとんど行ったことのない建築ばかりであり、唯一、栃木県立美術館(1972/川崎清)だけが見学済みの建築であった。見たことはないものの、これまで雑誌や文献などで知識としては持っていた建築が大半だが、なかには、いままでその存在すら知らなかったものも数点あり、それがまたすばらしい建築だったりする。巡礼隊長の磯氏の琴線に触れた建築が取り上げられているのだろうが、その選定眼・建築に対する審美眼の性能の高さにおそれいる。宮沢氏のイラストも磨きがかかり、精緻な上に建物の特徴をペ-ジ構成に応用する凝りようである。

じつは、この東日本編の冒頭にも都城市民会館が掲載されている。本文のまえの序文的なイラストコ-ナ-で、巡礼のトップバッタ-であり、掲載以後、めでたく保存につながるドラマのような展開をたどったこの会館を1ペ-ジにわたってイラストで紹介していて、先日の「日経ア-キテクチュア」本誌(5/26号)では「保存への期待度」なる指標を挿入していたが、今回は「命のろうそく」なるメルヘンチックな指標で会館の命運の変遷を表現してくれていて、宮沢氏と磯氏に快哉の声を届けたい。

ただ、このモダン建築をめぐる社会情勢は厳しく、本書に登場する建築のいくつかはすでに解体されて存在しない。建築見学のガイドブックとして本書が活用されることが本意なのだろうが、いまはなき建築の記録書的な性格を帯びつつあることは悲しい。しかし、悲観ばかりもしていられない。ならば、「戦後建築の魅力を我々がわかりやすく伝えたい。」これが本書のコンセプトである。

これで東西の巡礼集がそろった。これから巡礼の旅はどうなるのだろうとおもっていたら、この秋からは「ポストモダン編」を予定しているようだ。2008年7月14日刊。発行:日経PB社、定価2200円+税、縦21センチ×横20センチ、216ペ-ジ。イラスト、写真多数。購入をお勧めします。あるいは図書館にリクエストしてください。

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