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2008年5月 3日 (土)

若林広幸・京都

またしても京都シリ-ズです。

先回、わたしが京都にいた20年ほど前の京都の建築シ-ンを取り上げました。そのころ、高松伸と張り合っていたいたというか、トンガッタ建築をつくって目をひいたのが若林広幸です。氏は昨年、京都の三条通りにある旧毎日新聞京都支店という3階建ての古いビルを自分で購入し、解体の危機から救いました。小さなビルですが、京都の繁華街にありますので、かなりの出費だったはずで、そんな男気を持っています。また、氏の事務所は京都市役所のちかくにある古い町屋を改造した建物であり、玄関庇の唐破風が特徴となってます。京都のまちと町屋建築に愛着をもつ建築家であることがわかります。

氏のデビュ-作はライフイン京都という老人ホ-ムでした。1986年の竣工です。氏はもともと、たち吉という京都の老舗陶磁器メ-カ-で企画デザインを担当していて、その後、インテリアさらに建築へと転進してきた人物です。1987年の10月、わたしは京都へ行き氏の事務所をたずねました。できれば、ここで働きたいという希望を抱いていました。それほど、ライフイン京都のインパクトが強かったのでした。

そのころは氏の売りだし中のころで、かなり忙しいようでした。しかし、実務に役立つ経験者ならともかく、わたしのような修行の身では「来てもいいけど給料は払えない、こづかい程度しかあげられない」と言われ、泣く泣く就職は断念しました。建築設計界は徒弟制度的なところがあり、有名建築家のもとには、「タダでもいいから修行させてくれ」という若者がやってくるのです。氏の事務所を辞するさい、「ライフイン京都を見て行きなさい」と声をかけてくれ、その老人ホ-ムの担当者に電話してくれました。

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市街を望む洛西の丘にあり、東山から市街を望む清水寺に相対するつもりでつくったというようなことを言っていたように記憶します。

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内部中央ロビ-の滝のある吹き抜けです。

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中間の屋上テラスから見たようすです。

いかにもバブリ-な造形に見えるかもしれませんが、氏はこのかたちは純粋にレンタブル比を追及した結果であるといいます。もともとの計画案をみて、オレならもっとレンタブル比を高くできるということから設計がスタ-トしたそうです。レンタブル比というのは、建物の床面積に占める収益面積の比率です。これが高いほど収益性が高いといえます。たとえば、テナントビルのうち、共用通路などを差し引いて、純粋に家賃のとれるテナント部だけの面積の割合のことです。つまり、経済性を追求したかたちであるということです。たしかに、中央ロビ-まわりはさすがに金がかかっていますが、他はそんなに派手ではありません。しかし、1980年代後半の活気ある時代の造形であることはまちがいありません。これを見て、建築に夢を見た気がしたものです。

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