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2007年7月21日 (土)

建築基準法改悪

先日、市役所へ行き、6月20日の建築基準法改正後の新しい「建築確認申請」に関する書類をもらってきた。そして、アゼンとした。なんと、あたらしくチェックリストなるものの添付が要求され、その数が半端ではない。意匠、構造、設備、総括に別れたそのリストは、合計28ペ-ジにもおよぶ。しかも、細かい字でびっしりと書かれていて、そろそろ目が薄くなってきているわたしには読むだけで辛いものだ。

そのチェックリストを見て、いくつか疑問点があったので市に問い合わせてみた。まず、防火構造の認定書が必要とありますが、認定書を添付するのですね。と聞いたところ、はいそうです。認定書と、認定書に別紙記載という項目がありましたら、別紙まで合わせて添付してください。ということであり、さっそくサイディングメ-カ-に認定書を要求したところ、別紙を含めて、つごう25枚の書類が送られてきた。

チェックリストとこの認定書だけですでに50枚を超える書類である。その外にも、不燃材料、準不燃材料、難燃材料、ノンホルムなどの4スタ-建材、防火設備など認定のあるものは無数にある。サイディング以外に、ガラス、コンクリ-ト、壁紙、合板、アルミサッシ、換気扇などなど、住宅だけでもそれらは多岐にわたっており、それらの書類を全て添付するとなると、それだけで莫大な紙を消費することになる。それだけでもぞっとする。

近々、小さな木造住宅の建築確認を申請する予定がある。その申請作業により、具体的にどれだけの書類を用意する必要があるのか判明するだろうが、もし、数百枚の書類を必要とするのなら、今回の法改正は改悪といわざる得ない。そんなことをしなくても、一定の建築水準が、建築主から直接依頼されるかぎり、建築士の設計する建築物では担保できるはずです。

そもそも、今回の法改正は姉葉建築士による構造偽装というおぞましい事件が発端でした。氏の行った偽装は、明らかに鉄筋など構造性能が不足しており、ちょっと現場に通じた人なら、「おかしい」と直感的に感じられるほどの稚拙な内容です。高い建築確認手数料を取っておきながら、それらを見過ごした行政庁のひとたちが、謝罪や補償をしたという事実をわたしは知りません。社会保険庁の職員にボ-ナスの返還を求めることと同じくらい、ずさんな仕事であったといっていいと考えますが、彼らはどうおもっているのでしょうか。行政庁の職員が補償や手数料の返還をするべきだと、わたしは言いません。ただ、法改正で改めるべきは、建築士と行政庁職員の、技量と意識であることは間違いないとしても、小手先の責任回避にしかみえない今回の法改正に、不信感を感じています。

わたしがおもう姉葉事件の最大の要因は、建築士・建築家が単なる下請け業者として扱われていたという現状にあったとおもいます。建築家は、依頼人の意を受けて仕事をします。建築設計は、建築物という莫大な費用を必要とする不動産を、安全にかつ機能的で、コストに縛られながら、しかもかっこよく、依頼人の生活と資産形成を助け、はたまた現代文明への批評まで展開することもある、まるで神のような仕事です。しかし、人間ですので完全にできるわけはありませんが、建築家は依頼人の利益のために最善を尽くします。しかし、姉葉氏の場合は、直接の依頼人は木村建設という施工者であり、その支配下にある平成設計でした。この依頼人の要求に、度を超えて応えてしまったのが姉葉氏です。施工者と建築主の利益は、ともに、最小の費用で最大の効果をあげることですので、両者の利益は相反することがままあります。

つまり、建築家は建築主との信頼関係のもとに、設計を依頼されるべきです。医者や弁護士などと比較しても、建築家はコツコツと働くまじめな人が多いとわたしはおもっています。直接顔の見えるオ-ナ-であり使用者である依頼人のために建築家が働くことが、社会と建築にとって最善の方策であると信じます。

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コメント

K.Ohkita さま
有用な書きこみありがとうございました。改正後の申請をすでにこなしているようですが、やはりたいへんなのですね。
うんざりしますが、へこんでばかりもいられませんので、災い転じて福となす、といきたいものです。

投稿: ブロ長 | 2007年7月22日 (日) 00時55分

「建築基準法改悪」の記事読ませていただきました。同感です。
6月20日の改正により、設計事務所の仕事は非常に煩雑になりました。いったい、こんな法律、誰にメリットを及ぼすのでしょうか。本当にエンドユーザー保護の法律なんでしょうか。特殊建築物のうち、建築主と本来の利用者が違う場合だけに適用すべきではなかったでしょうか。
といっても私も日本国の法律の基で仕事をやっている以上、この制度を何とかものにしようと、自分なりにチェックリストを利用しやすく作り変えていっています。図面別チェックリストとか、用途構造別チェックリストとかですが、現在は法6条第1項4号建物に関する図面別チェックリストおよび解説が何とかできました。一ヶ月かかりました。その他の建築物はこれからです。必要に応じて作らないといけないですね。地元の仲の良い仲間と今後は共同作業をしなければと思っています。

ところで、そちらの行政庁のチェックリストは28ページなんですか。私が利用している日本ERIは43ページありますよ。
内容は基準法の施工規則からきているので同じと思いますが、民間検査機関だけあって、当局の指導を感じる内容ではありますね。
お互いがんばりましょう・・・・と言うか、他を心配する余裕は今のところありません
お互い自分の事務所をまず正常に機能させるため頑張りましょう・・・と言うところが本音でしょうか。

このたびは突然であり、ぶしつけな語りを流してしまいまして本当に申し訳ありませんでした。
今後の貴殿のご活躍をお祈りしております。

投稿: K.Ohkita | 2007年7月21日 (土) 09時55分

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