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2007年4月24日 (火)

都城島津を温ねる会と、島津邸のこと

宮崎県は都城に、「都城島津を温ねる(たずねる)会」(会長:土持吉之さん)という団体があります。古い歴史をもつ都城島津家の28代目の当主であり、当地の発展・歴史に欠かすことのできない巨人でもある島津久厚さんの功績と人柄に惚れ、なにかできることがあったらお役にたちたいという有志の集まりです。

先日、その会長の土持さんと美術家の又木さんの企画で、都城島津家を訪問させていただきました。しかも、島津さんご夫婦の案内でという、幸運なものでした。わたしとしては、昨年の6月以来の2度目の訪問であり、このブログにもそのときのことを記しています。

発端は、現在都城に帰省中の又木さん(本拠地はスペイン)が、昨年、島津さんが受賞した都城名誉市民章のデザインを担当したことでした。又木さんは現在一時帰国しており、郷里の都城に滞在しています。その又木さんが先日東京に行ったおり、東京の島津邸に連絡を取り、名誉章の実物を拝見したいという(又木さんはスペインにいるので実物を見ていなかった)希望を伝えたことだったようです。

東京で島津さんと面会した又木さんは、その名誉章を都城のお屋敷で拝見する約束を得ますが、同時に、都城島津邸の存続が、現在微妙な情勢にあることも知らされました。先にこのブログでも紹介しましたが、10年ほど前の、まだ岩橋市長だった当時、都城市は島津さんのお屋敷を買い取る約束をしました。その見返りといっては語弊があるかもしれませんが、当家の所有する美術品や古い文献・記録資料など約一万点のお宝を市に寄贈することになり、こちらは2年ほど前に履行されました。現在、そのお宝は、重要文化財の指定を視野に入れ、市が調査・整理中です。

ところが、現在の長峯市長は、市が果たすはずであったお屋敷購入の約束を、まだj準備不足として履行しようとしていません。うがった観測かもしれませんが、島津家がしびれを切らして他に売却するのを待っているのであり、そうすれば市が約束を反故にしたという批判がかわせるという、稚拙なのか高等なのかよくわからない、それが本当ならとてもズルイ作戦だと言う人もいます。

さて、都城島津を温ねる会の登場です。東京で島津さんと面会した又木さんは、この会のことをご夫妻との会話の中で知りました。「温ねる」と書いて「たずねる」と呼ぶのは、おそらく論語の「温故知新」(一般解では「古きをたずねて新しきを知る」と訳す)から来ているのでしょうが、都城島津家の古く長い歴史と、鹿児島の島津本家の陰に隠れて、あまり知られてはいないが、日本史の画期に活躍した都城島津家の面々と、今日の都城・宮崎・ひいては日本の発展に貢献した都城島津家の功績を顕彰・検証し、都城島津家を貴重な郷土の遺産として維持・活用したいという目的をもつ市民団体です。

「・・温ねる会」は現在、会員100人ほどを数えています。いずれも、都城ロ-タリ-クラブの会員を中心とする(島津さんは宮崎県のロ-タリ-クラブの祖といえる人物であり、現在でも現役で50年在籍かつ重責を担っている、日本でも有数のロ-タリアンです)当地の重鎮ばかりであり、じつは、長峯市長自身もこの「・・温ねる会」の会員です。この会は、都城市が10年前の約束を果たし、島津家の屋敷をこれからも市の貴重な財産として存続・整備するよう各方面に働きかけていくそうです。

わたしも都城島津家が民間に渡り、商用地あるいは住宅地として現在の姿を壊すかたちで再開発されることを望んでいません。都城は島津家発祥の地であることをうたっています。律令体制が成熟してきた平安時代の初期、すでに現在の都城地方が島津という名前で呼ばれていたと記録にもあるようです。やがて、この地を治めることになった現在の島津家の祖が、地名をとって「島津」を名乗りました。その本家は鹿児島に移住し、日本史に重大な数々の足跡を残すことになります。都城島津家は宗家の分家筋としてこの地域を支藩として自治してきました。戦国期から連綿と続く武家の昭和期の住宅として、あるいは、当地にとって珍しい優れた近代和風建築遺構として、この都城島津家屋敷は高い資料的価値と文化的価値を有しています。古くていいものはたいせつに扱う。残すべきものは残す。当然のことです。財政逼迫の言い訳は、万策尽き、矢折れ力尽きてから言うべきです。

前置きが長くなりました。今回の島津邸の写真をご覧ください。

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島津夫妻と又木さん           又木さんデザインの名誉市民章         

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かつて天皇がくつろいだことのある部屋にて  大野重幸氏デザインの和室欄間

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お屋敷と庭園         「・・温ねる会」が定期的に清掃している市内の兼喜神社

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