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2007年3月31日 (土)

南九州の文化と建築を考える会の申し入れ書

2007326

都城市長 長峯誠様

南九州の文化と建築を考える会

申し入れ書

 本会は、南九州の文化と建築について考察し、特色と魅力あるまちづくりと都市景観の創出・洗練された市民生活の実現を標榜し、提案・実践していくことを目的とする、南九州の建築家や文化人、文化やまちづくりに関心ある市民などの個人で構成される非営利組織です。

 昨年来、都城市民会館の存続をめぐり、市民の間で保存運動が起こるなど議論が活発化しております。都城市の将来のために、会館を今後どうすべきか、本会としても会館の存続と市の将来に与える影響に強い関心と危惧の念を抱いております。

 このたび、長峯市長は市民会館を解体する方針を発表されました。当市の財政状況、市民会館の役割、昨年12月の市民アンケ-トの結果などを、その理由にあげられています。

わたしたち「南九州の文化と建築を考える会」は、市長の方針とは見解が異なりますし、別紙説明書にて詳述するとおり、市長の発表した解体の理由には納得できない点があります。

また、市長もご承知のように、すでに日本建築学会、JIA(日本建築家協会)、DOCOMOMO japanという日本を代表する建築専門機関から市民会館の高い建築的価値を認め、保存を求める要望書が出されており、このことの重要性を、もっと認識していただきたいと考えます。

都城市民会館は南九州地方で唯一といっていい世界に通用する近代建築物であり、都城市民のみならず、宮崎県民にとっても、会館が奇跡的にこの地にあることは誇りであり、金額に換算できない精神的な恩恵は計り知れません。また、これといった文化財や観光資源に乏しい当地にあって、市民会館の存在は島津氏発祥の地とともに絶好のアピ-ルポイントであり、市の重要かつ重大な文化・観光資源でもあります。

そこで、当会としては、市民会館をこれからも市民の文化交流の拠点として活用し、存続させる方法を市および市民とともに模索していく所存です。会館を運営するNPOを立ち上げ、民間による自立した運営を、当市にあるいくつかの優良な企業の協力を募りながら検討していきます。また、全国にひろく呼びかけ、会館の活用プランを公募していくことなども視野に入れています。

つきましては、平成19年度中に解体するという性急な方針を改め、都城市の将来に禍根を残さない・市民の納得できる有効な保存活用方法をあらためて検討するため、解体設計の実施を中止し、解体に当分の猶予を与えられることを強く要求し、ここに申し入れるものです。

申し入れ者代表 中岡盛久:建築家

賛同者 板越政幸(建築家)、大薗貴洋(建築家)、大薗保博(建築家)、

緒方良信(彫刻家)、黒岩常正(建築家)、中馬秀一郎(建築家)、

ヒラカワヤスミ(建築家)、又木啓子(芸術家)、源敏彦(彫刻家)、他

(別紙)

申入れの理由(長峯市長が発表した解体方針に付された理由への反対意見)

     市民会館の役割 

市民会館の舞台芸術表現の拠点としての役割は、新しい総合文化ホ-ルに移すこ

とができたのかもしれません。しかし、文化の拠点としての役割は終了していま

せん。ご承知のように、市民会館は音楽や演劇以外の集会・講演・映画会・式典

など市民の多様な文化的要求を満たすことを目的とした多目的ホ-ルです。講演

や集会の場合とコンサ-トの場合では、その要求される音響性能は相反するもの

があり、音楽や演劇の会場としては、とうぜん劣ることになります。それに対す

る不満が新ホ-ル建設の理由でもありました。

しかし、各団体の主催する講演や集会、高度な専門性を要求されない発表会など、市民の気軽で多彩な文化的ニ-ズは、あらたに17万人都市となった新都城市において、これからますます高まることは必然です。新ホ-ルには専門性をもつ大中ふたつのホ-ルがありますが、これらのすべてをここへ集約することは、非効率であり、文化行政的にも市民の利益を失うものです。多目的かつリ-ズナブルな集会施設としては、中央公民館がありますが、そのキャパシティ・設備は都城市の規模には貧弱であるといえます。

市民会館の役割はまだ終了していません。市民会館を中規模かつ効率的なホ-ルをもつ市民センタ-として位置付け、これからますます重要度が増すであろう市民の多様な文化的ニ-ズにこたえる拠点とする必要があると考えます。

     市民の意見及び意向 

昨年末の市民アンケ-トの結果、解体が83%という発表となりましたが、都城市

はすでに「解体を結論とする報告書」を発表しており、市はまったく「会館の今

後の方策」について公平・中立であったとはいえません。市は当地における最大

の経済規模を有する機関であり、市民の多くは市の巨大な経済と発注する事業に

少なからず依存し、その影響下にあります。昨年末のアンケ-トは、解体の方向

性を表明した後に、市が主催・実施したわけですが、このやり方で市民の正直な

意見を反映しているものといえるでしょうか。

また、昨年末に市内15会場で開催された「意見交換会」は、参加者も少なく

とても市民の関心を集め、意見を幅広く汲み上げたとは言いがたいものでした。

さらに、その参加者の多くは、市の呼びかけにより動員された各自治公民館の館

長や役員であり、この人たちは日ごろから市と協力・友好的な関係にあるといえ

ます。ここには、昨年国政の場で大きな問題となった「タウンミ-ティング」の

やらせの構図につながるものが見て取れます。

 むしろ、平成15年の「ふれあいアンケ-ト」の結果である、解体47.6%、改修を  含む保存52.4%が、民意を適切に表現していると考えます。この時点で市は会館の解体の方向性を打ち出していません。まったくの中立な立場だったといえます。

     市の財政状況 

財政状況は厳しく、危険ゾ-ンであるとのことであり、だから会館を解体すると

いう理由にあげられていますが、これにはまったく逆の見解をもっています。財

政が危機的であるからこそ、安易にまだつかえる施設を壊さず、必要最低限の改

修をして使いつづける必要があるはずです。築40年というのは、たしかに建物の

老朽化が目に付きやすい年数ではありますが、けして専門的な知見では、物理的

な耐用年数を意味するものではありません。適切なメンテナンスをほどこせば、

まだまだ建築物としての使命をじゅうぶん果たすことは可能です。会館の現況を

みたとき、会館のマイナス要因として喧伝されている雨漏りも、おもに適切なメ

ンテナンスがなされていないことに起因しているようであり、公共財である市の

建物を不当に劣化させているものとして、市の管理責任が指摘されてもしかたが

ないと考えます。適切なメンテンスを施し、建物を寿命を延ばし、市の財政支出

を抑えることは、財政状況を云々する以前の問題です。

つまり、市民会館の解体は、市の財政状況には結果的にマイナスにはたらき

ます。莫大な費用を費やして、まだ使える建物を壊すことこそが最大のムダ遣いです。じゅうぶんな検討もなく、安易に過分な施設をつくり、壊す。この繰り返しが今日の自治体の危機的な財政状況の主要な要因だと考えます。市の財政を真摯に考えるのであれば、けして解体という結論は導かれないものと考えます。

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