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2006年6月23日 (金)

鈴木博之 東大教授がやって来る

 都城市民会館シンポジウム

 7月22日(土)1630分から都城市の中山荘にて、近代建築を考えるシンポジウム「市民会館は再生できる」が開催されます。なんと、特別講師に東京大学大学院教授の、鈴木博之氏が来ることになりました。鈴木さんといえば、日本の建築史の世界でトップに位置する学者です。DOCOMOMO Japanの代表でもあり、日本建築学界副会長でもあるというすごい人です。めったに話を聞く機会はありません。※最後に略歴があります。

 建築に興味がある人もない人も、市民会館が好きな人もそうでない人も、みんなで来てください。そして、市民会館の偉大さ、すばらしさに触れ、市民会館の存続にもっと声をあげましょう。

 市民会館が著名な建築であることを知っている、また、ユニ-クな形状の会館に愛着を感じている市民はけっこういます。しかし、市はその市民会館を取り壊そうと考えているようです。新文化ホ-ルの完成を期して「その役目は終わった」ともっともらしく理由をつけていますが、ほんとにそうでしょうか、また、たった40年しか経ってなく、まだまだ使える市民会館を壊してしまっていいのでしょうか。世界に誇るべきこの市民会館を。

 人間はプライド・誇りがないと人として成り立ちません。小さいものかもしれませんが、17万人市民に等しく誇りを植え付けてくれるもののひとつが市民会館です。20年前なら、まだ高校野球がありましたが、いまはもうありません。もちろん、市民会館以外にも、都城の誇るべきものは多々あるでしょうが、それらは一朝一夕にできるものではなく、悠久の自然と、累々たる人びとの営みによって築かれたものです。しかし、すでに市民会館はもう40年存在し、その勇姿は世界に認められ、わたしたちはそれを誇りに感じています。なぜ、こんなすばらしいものをつぶす必要性があるのでしょうか、そんなことをしたら、世界中の笑い者です。世界の評価うんぬんよりも、市民にとって、こんな不幸なことはありません。

地元の音楽や演劇などの文化団体からはこんな声も聞こえています。「こんどの新ホ-ルは使用料が高くてこれからどうしようか悩んでいる。こんどからは三股や末吉のホ-ルでやろうかしら」と。これではなんのために新ホ-ルをつくったのか本末転倒です。

 また、こんな噂話も耳にしました。「市は市民会館を残して、新ホ-ルの稼動率が落ちるのを心配している。なぜなら、せっかく作った新ホ-ルの利用率が低いと、その責任を追求され、叱責を受けるからだ」と、え-さすがにそれはないでしょう。そこまで役人は腐っていないはずです。こんな情けない話はありません。

新ホ-ルの建設は喜ばしいことです。でも、だからといって市民会館をつぶしては絶対にいけません。市民会館はまだまだ使えます。それも、今回誕生したふたつのホ-ルと、その特性に応じて相補うかたちで幸福に共存できます。新ホ-ルにない特性を市民会館はもっています。わたしたちは、1400人収容の現在のリ-ズナブルな市民会館に加え、新たにふたつの専門性のたかいホ-ルができたことを喜ぶべきです。

市民会館を壊せという意見の理由は、ほとんどがお金のことです。ムダ遣いをする余裕はないという理由です。市民会館は年間5000万円の維持費がかかるといわれています。しかし、新ホ-ルは3億円もの経費を年間にかけるそうです。つまり、お金がないのではありません。3億円は文化ホ-ルにつかうつもりなのです。それでしたら、3億円で市民会館と新ホ-ルを両方維持することはできないのでしょうか。できます。ようは、やる気の問題です。「市民会館税をひと世帯に千円づつ徴収することになりますよ」という論法を聞いたことがありますが、これはわたしにはタチの悪い恫喝に聞こえます。「新文化ホ-ル税をことしから五千円づつかけることにしました」とは、なぜいわないのでしょうか。

わたしたちは、年間600億円だかの総予算の使いみちを市に委託しています。そのつかいみちの問題でしょう。増税のはなしではありません。

こんどのシンポジウムは、けして新ホ-ルを批判しその欠点をあげつらうものではありません。市民会館の有用性と文化財としての価値と、まちづくりに占めるその有効性を確認し、40年間市民のシンボルとして親しまれてきた会館のこれからのゆくすえを論じるための場です。

どうかみなさん、シンポジウムに来てください。そして、市民会館のもつ、はるかに大きい存在価値を認識し、これをなくしたときの損失の巨大さを感じてください。市民会館は残すべきです。わたしたちのより頼もしき明日の暮らしのために。

鈴木博之 (すずき ひろゆき)

1945514日  東京生まれ
1968
   東京大学工学部建築学科卒業
1974
   東京大学工学系大学院博士課程満期退学
1974
   東京大学工学部専任講師
1974
75 ロンドン大学コートゥールド美術史研究所留学
1978
   東京大学助教授/1984 工学博士
1990
-  東京大学教授(工学部建築学科)
1993
   ハーヴァード大学客員教授(美術史学科)

主な著書  
1977
『建築の世紀末』(晶文社)
1984
『建築の七つの力』(鹿島出版会)
1984
『日本の現代建築 19581983』(編著)(講談社)
1989
『夢のすむ家』(平凡社)
1990
『東京の地靈』(文藝春秋)
1991
『建築家たちのヴィクトリア朝』(平凡社)
1992
『明治の洋館 100選』(講談社カルチャーブックス)
1996
『ロンドン』(ちくま新書)
1996
『ヴィクトリアン・ゴシックの崩壊』(中央公論美術出版)
1996
『見える都市 見えない都市』(岩波書店)
1999
『日本の近代 10 都市へ』(中央公論新社)
1999
『現代建築のみかた』(王国社) 
1999
『日本の〈地霊〉』( 講談社現代親書)  
2001
『現代の建築保存論』(王国社) 
2002
『都市の記憶』(共著)(白揚社) 
2003
『都市のかなしみ』(中央公論新社)
2003
『建築学の教科書』(編著)(彰国社)
2006
『復元思想の社会史』(編・著)(建築資料社)

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