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2005年7月22日 (金)

建築と都市を考える

『住み家殺人事件』松山 巌 著 みすず書房

 タイトルだけだとミステリ-かとおもうだろう。あるいは、住宅の稚拙な間取りに起因する殺人事件の研究書かもと。ところが、本書はきわめて根源的な建築と都市への考察や問いかけを与えるカタイ本だ。副題に「建築論ノ-ト」とあるが、そんじょそこらの建築論ではないということを、この特異なタイトルに込めているのだろう。
 建築家なら、だれでも大規模な計画を喜ぶだろう。大きいものへの憧れというか願望はかくも強い。とくに、超高層ビルなど一生に一度手がけられる建築家が何人いるだろう。わたしだって、もし超高層ビルの設計を依頼されたら、二つ返事で引き受けるだろう。
 しかし、あまりに高度、巨大化した建築や開発が、人間にとって幸福なことなのだろうか。本文から。「建築を新たにつくることは、近代に入ってテロリズムの色彩を強めている。なぜなら、それ以前の時代と比べれは、驚くほどの短時間に周辺環境を変え、人間関係を変えてしまうからだ」衝撃の一文である。そうなのだ。テロリズムはイラクやロンドンだけの話ではなかったのである。ひとつの建物をつくるということは、それだけの行為であるのだ。このことをわたしたちはすっかり忘れてはいないか。「建築は大地に寄生し、環境に寄生しているのである。それが大きければ大きいほど、その影響力は増す。」
 なんでもかんでも依頼人の意に沿ってつくればいいというものではない。

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